辞誼じぎ)” の例文
若紳士がまだ挙ないことと思っておのれもまた下げて居るのを、奇観々々これをお辞誼じぎ交際づきあいなづけると、遠くで見ておかしがって居た藍縞あいじまの一重袴を穿いた男が
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
例をいへば子供が他人に対して、辞誼じぎをするといふ事を初めとして、来客にはどういふ風に応接すべきものであるかといふ事などは、親が教へてやらなくてはならぬ。
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
茶碗取る手もおづ/\として進みかぬるばかり、済みませぬといふ辞誼じぎを二度ほど繰返せし後、漸く乾き切つたる舌を湿す間もあらせず、今頃の帰りとは余り可愛がられ過ぎたの、ホヽ
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
茶碗ちゃわん取る手もおずおずとして進みかぬるばかり、済みませぬという辞誼じぎを二度ほど繰り返せし後、ようやくかわききったる舌を湿うるおす間もあらせず、今ごろの帰りとはあまり可愛がられ過ぎたの、ホホ
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
鳴雪めいせついわく彼をして勝手におごらしめよ、彼はこの場合におけるより外に人に向つて驕るべき場合を持たざるなり、この心を以て我は帽を脱いで丁寧に辞誼じぎすればすなわち可なり、と。けだし有道者の言。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)