かが)” の例文
兎も角その中橋南地なかばしなんちの猿若座の桝に納まったどんな客の中にも、お竹ほどのかがやかしい存在はたった一人も無かったことは事実でした。
ひときはあかかがやきしかの窻枠まどわくを忍ぶとき……
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
若い尼は、顔を赤らめて俯向うつむくばかりでした。しなやかな肉付や、美しい肢体は、墨染の法衣にも隠せず、庵室の貧しさにもかがやき渡るばかりでした。
百唇の譜 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
下町育ちで、言葉使いは少しはしたない代り、天成のかがやく美貌に、愛嬌はこぼるるばかり、一と月足らずのうちに、屋敷中の者から豊、豊と眼を掛けられるようになりました。
礫心中 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)