まろば)” の例文
旧字:
雪頽なだれといふ事初編しよへんにもくはしくしるしたるごとく、山につもりたる雪二丈にもあまるが、春の陽気やうきしたよりむし自然しぜんくだおつる事大磐石だいばんじやくまろばしおとすが如し。
控へたりし人の出でざるはあらざらんやうに、往来ゆききの常よりしきりなる午前十一時といふ頃、かがみ勝に疲れたる車夫は、泥の粉衣ころも掛けたる車輪を可悩なやましげにまろばして、黒綾くろあや吾妻あづまコオト着て
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
雪頽なだれといふ事初編しよへんにもくはしくしるしたるごとく、山につもりたる雪二丈にもあまるが、春の陽気やうきしたよりむし自然しぜんくだおつる事大磐石だいばんじやくまろばしおとすが如し。
まろびながら雪をまろめ次第しだいに大をなし、幾万斤いくまんきんの重きをなしたるもの幾丈いくぢやうの大石をまろばはしらすがごとく、これが為にあわ/\しき雪おしせかれて雪の洪波つなみをなして大木を根こぎになし