走井はしりい)” の例文
程もなく逢坂おうさかふもと走井はしりいの茶屋の店さきへかかると、一同はまン中の駕を下ろし、群蝶のくずれるように茶店の内や外に散らばった。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのあいだに有名な走井はしりいの泉があって、走餅を売っておりますから御賞翫ごしょうがんくださいですって、よろしい、いただきましょう。
近江おうみ堅田祥瑞寺。途に走井はしりい月心寺に立寄る。
七百五十句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
そこで、京の芸子や仲居たちは、江戸蔵前くらまえ大通だいつうのお嬢様が、いよいよお立ちというので、走井はしりいの茶屋まで見送ってきたものである。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
名所の走井はしりいを見ようとしてたずねてみたら、もう人の垣根の中に囲われてしまっていたっけ、走餅はないかと聞いてみると、本家は大津浜の方へ引越したということで
実あ、走井はしりいの茶屋の先で、チラと姿を見かけたので、和蘭陀おらんだカルタにことよせて、それとなく礼をいいにいったくらいですからね……。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)