貝原益軒かいばらえきけん)” の例文
書物に赤麻アカアサの約と出ているが、この想像説には信を措き難い。貝原益軒かいばらえきけんの『日本釈名にほんしゃくみょう』には「アカザ、あかは赤なり、さはなと通ず赤菜なり」
植物一日一題 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
貝原益軒かいばらえきけん先生は只今ただいま房事中と来客を断られた由であるが、私はこういう聖人賢者は好きではない。こんなところは何も正直に言うことはないさ。
余はベンメイす (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
若狭の方面には『沖のすさび』のほぼ同じころに、貝原益軒かいばらえきけんの『西北紀行』があって、忠実に土地の所伝を録している。
雪国の春 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
第一、その文章からして、従来の漢学臭味かんがくしゅうみを脱している上に、平易明快で、貝原益軒かいばらえきけんをもう少し大きく、明るくしたような書きぶりが頭に残ります。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
むかしの立派なる教育家貝原益軒かいばらえきけん中江藤樹なかえとうじゅ熊沢蕃山くまざわばんざん等はみなじゅくを開いたことはあるが、今日のごとく何百人の生徒を集めて演説講義したものでない。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
わたしはやはり小学時代に貝原益軒かいばらえきけんの逸事を学んだ。益軒はかつて乗合船の中に一人の書生と一しょになった。書生は才力に誇っていたと見え、滔々とうとうと古今の学芸を論じた。
侏儒の言葉 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
昔の人間でも貝原益軒かいばらえきけんや講談師の話の引き合いに出る松浦老侯まつうらろうこうのごときはこれと同じ種類に属する若返り法を研究し実行したらしいようであるが、それらの方法は今日一般にはどうも実用的でない。
映画と生理 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
貝原益軒かいばらえきけん曰く、「天地の気、人物おのおの資してはじめて生ず。人、死すればすなわちその気すでに消散し、魂もまた殫尽たんじんして余りなし。ただ子孫の気ありて、相継いで絶えざるのみ」と)(『自娯集じごしゅう』)
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)
貝原益軒かいばらえきけんの和州巡覧記に
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
宝永六年(1709)発行の貝原益軒かいばらえきけんの『大和本草やまとほんぞう』付録巻之一に「伊勢ノ浜荻はまおぎハ三津村ノ南ノ後ロニアリ片葉ノアシニシテ常ノ芦ニカハレリ」
植物一日一題 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
貝原益軒かいばらえきけんがものせる『大和俗訓やまとぞっくん』の中に、忠告に関するまことに穿うがった教訓があるから、左に抜萃ばっすいする。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
貝原益軒かいばらえきけんはスギは古名がマキでマキノトというのは杉戸の事であるといっている。またヒノキは諸木の上乗なものであるからこれを賞讃して真木というのだとの説もある。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
宝永六年(1709)に出版になった貝原益軒かいばらえきけんの『大和本草やまとほんぞう』には、向日葵をヒュウガアオイと書いてある。そして「花ヨカラズ最下品ナリ只日ニツキテマハルヲ賞スルノミ」
植物一日一題 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)