諫争かんそう)” の例文
そういう幕府は無謀な大軍を西へ進める当時に、尾州の御隠居や越前藩主なぞの諫争かんそうをきき入れないでおいて、今となって目をさましてもおそかった。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
ここにおいてか勢い幕府を諫争かんそうし、れ聴かざるにおいては、勢い討せざるべからざるに至る。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
軍艦をもって脱走する者もあり、策士論客は将軍に謁して一戦の奮発を促がし、諫争かんそうきょく、声をはなって号泣するなんぞは、如何いかにもエライ有様ありさまで、忠臣義士の共進会であったが
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
ルイ十四世が嬖臣へいしんたる一貴族の重罪を特赦しようとした時、掌璽大臣ヴォアザン(Voisin)は言葉を尽して諫争かんそうしたが、王はどうしても聴き容れず、強いて大璽を持ち来らしめて
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
御隠居の諫争かんそうにも耳を傾けず、長州の伏罪には疑惑のかどがあるとして、毛利大膳父子、および三条実美さんじょうさねとみ以下の五卿を江戸に護送することを主張してやまなかった。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)