藤枝ふじえだ)” の例文
掛川かけがわと云えば佐夜さよ中山なかやまはと見廻せど僅かに九歳の冬此処ここを過ぎしなればあたりの景色さらに見覚えなく、島田藤枝ふじえだなど云う名のみ耳に残れるくらいなれば覚束おぼつかなし。
東上記 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
本多の指図で、使の一行はその日のうちに立って、藤枝ふじえだまで上った。京都紫野に着いたのが五月二十九日、大阪へ出たのが六月八日で、大阪で舟に乗り込んだのが六月十一日である。
佐橋甚五郎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
ただひとりだけ、藤枝ふじえだの在から奉公に来ていた下僕げぼく六兵衛ろくべえが、目付役とともに島田の宿しゅくまで送ってきた。かれは美濃までの供をねがってきかなかったけれど、みよはかたく拒んでゆるさなかった。
日本婦道記:箭竹 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
藤枝ふじえだと云う鰥暮やもめぐらしの侍はじぶんの家へ帰って来た。
女賊記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)