あお)” の例文
がれてきた夕月の下は、あおいあおい夜霞よがすみだった。その遠くのほうで、木工助じじが歌うらしい、子守うたが聞こえていた。
白魚橋のあおい空を、乱れた提灯ちょうちんの影が点々と駈け出して行った。——むろん東儀が河の中からそこに認めた郁次郎は、とうに夕闇の深くへその姿をくらましていた。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)