蕭々せうせう)” の例文
これは南画なんぐわだ。蕭々せうせうなびいた竹の上に、消えさうなお前があがつてゐる。黒ずんだいんの字を読んだら、大明方外之人たいみんはうぐわいのひととしてあつた。
動物園 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
蕭々せうせうと降りそそ
山羊の歌 (新字旧仮名) / 中原中也(著)
わたしは蕭々せうせうたる樹木のあひだに、彼等のむらがつたのを眺めながら、化け物も莫迦ばかには出来ないと思つた。
支那の画 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
斯くして予はかの肥大に似たる満村恭平の如く、車窓の外に往来する燈火の光を見、車蓋しやがいの上に蕭々せうせうたる夜雨の音を聞きつつ、新富座を去る事はなはだ遠からずして、かならず予が最期の息を呼吸す可し。
開化の殺人 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)