蒐集家しうしふか)” の例文
蒐集家しうしふかは情熱に富んだものである。殊にたつた一枚のマツチの商標しやうへうを手に入れる為に、世界を周遊する蒐集家などはほとんど情熱そのものである。
続野人生計事 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
若しわれをしも蒐集家しうしふかと言はば、張三李四ちやうさんりしの徒も蒐集家たるべし。然れどもわが友に小穴一游亭をあないちいうていあり。若し千古の佳什かじふを得んと欲すれば、かならずしもかの書画家の如く叩頭百拝こうとうひやくはいするをもちひず。
わが家の古玩 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
蒐集家しうしふかのみの知る喜びや悲しみはかう云ふ僕には恵まれてゐない。
蒐書 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)