葵祭あおいまつり)” の例文
西洋的なものから採入れようとする一般の風潮は彼の後姿に向っては「葵祭あおいまつりの竹の欄干てすりで」青くれてなはると蔭口を利きながら
食魔 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「よウ、京都の葵祭あおいまつりにも人出ひとではあるが、この甲斐かい山奥やまおくへ、こんなに人間があつまってくるたあ豪勢ごうせいなもンだなあ……」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
御行 でしょう?……いや、これは私が、このねんに一度の葵祭あおいまつりの吉日を選んで、皆さんを喜ばせて上げようと思って、一月も前から考えていたことなのですよ。
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
第一を「御簾みす」と言い、第二が「奥御簾の間」、第三が「扇の間」で、畳数二十一畳、天井には四十四枚の扇の絵を散らし、六面の襖の四つは加茂かも葵祭あおいまつりを描いた土佐絵。
京都の壬生みぶ念仏や牛祭の記は見た事もあるがそれも我々の如き実地見ぬ者にはまだ分らぬことが多い。葵祭あおいまつり祇園祭ぎおんまつりなどは陳腐な故でもあらうがかへつて細しく書いた者を見ぬ。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
葵祭あおいまつりが近づいた。その日になると、私は若い人たちを連れて、忍んで出掛けていった。
ほととぎす (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
……葵祭あおいまつりの日あたりにでも、お迎えの車をこちらに寄越せたら、……と思っています。
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
そんな葵祭あおいまつりが過ぎてから、殿は又かき絶えたように入らっしゃらなくなった。
ほととぎす (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
葵祭あおいまつりの日の午後。うららかな五月の祭日和まつりびよりである。
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)