腕白小僧わんぱくこぞう)” の例文
彼はホテルの十日間を、何の屈託くったくもなく、腕白小僧わんぱくこぞうの様にほがらかに暮した。ホテルのボートを借りて湖水をまわるのが日課だった。
魔術師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
しかし容貌のごときは腕白小僧わんぱくこぞうにはさほどの感じもないから、幼少のころは平気に聞き流して意に介せなかった。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
あるところに一人の腕白小僧わんぱくこぞうが居った、ある日近所の子供といくさごっこをしていたが、竹の棒で一人の子供の頭に、大きなたんこぶをこしらえた、いたいいたいと子供は泣き出した
糞尿譚 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
其上そのうへ宗助そうすけはある事情じじやうのために、一ねんとき京都きやうと轉學てんがくしたから、朝夕てうせき一所いつしよ生活せいくわつしてゐたのは、小六ころくの十二三の時迄ときまでである。宗助そうすけ剛情がうじやうかぬ腕白小僧わんぱくこぞうとしての小六ころくいまだに記憶きおくしてゐる。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
とも知らずに、さきへゆくのは十五、六のなりの大きな腕白小僧わんぱくこぞう
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
七八歳の頃、近所の腕白小僧わんぱくこぞうどもといっしょに、一匹ののら猫を追っかけていた。猫は生垣いけがきの中に身をかくした。みんな石を投げつけた。誰かの石が猫の顔にあたった。
女妖:01 前篇 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
三歳の腕白小僧わんぱくこぞうの一時の感情にとどまるか、はたまた天下万民の心の内にもこういう考えがひそめるかと問わば、右のごとく露骨にいわずとも、人を使う人の心中深く潜伏せんぷくする考えではあるまいか。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)