肌寒はだざむ)” の例文
さて、つまみ、ちがへ、そろへ、たばねと、大根だいこのうろきのつゆ次第しだいしげきにつけて、朝寒あさざむ夕寒ゆふざむ、やゝさむ肌寒はだざむ夜寒よさむとなる。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
秋めいて来て、やがて風が肌寒はだざむくなると、もう関東煮屋に「もって来い」の季節で、ビールに代って酒もよく出た。
夫婦善哉 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
一寸ちょっとしたウイスキイの酔は、すぐにも発散したし、湯上りのやや肌寒はだざむを感ずるところへ、明日はいよいよ樺太だと思うと、何か気もあがれば、引きしまっても来る。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
かたむくと、そとよりは、いえうちから、だんだん肌寒はだざむくなりました。母親ははおやとさきは、いつしかちゃって、夕飯ゆうはん支度したくにかかり、令二れいじだけが、まだ縁側えんがわのこっていました。
金歯 (新字新仮名) / 小川未明(著)
少し肌寒はだざむくて、いい気持。
パンドラの匣 (新字新仮名) / 太宰治(著)