聳動しようどう)” の例文
なまじ金座などをうろついて、世間の耳目を聳動しようどうさせるより、外の方で動きの取れぬ證據を集め、一擧にして曲者を縛らうといふのでせう。
僕は誰に対しても不正な事をしたことはない。又世間の耳目を聳動しようどうして見ようなんぞとは思はない。恐怖や絶望のために、こんな決心をしたのではない。
不可説 (新字旧仮名) / アンリ・ド・レニエ(著)
微力其任に堪へずと雖も、当代の人目を聳動しようどうしたる雄篇鉅作くさくは問ふを待たず、あまねく江湖に散佚さんいつせる万顆ばんくわ零玉れいぎよく細珠さいしゆを集め、一も遺漏ゐろう無からんことを期せり。
「鏡花全集」目録開口 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
磐梯山ばんだいざんたか千八百十九米せんはつぴやくじゆうくめーとる)の明治二十一年めいじにじゆういちねん六月十五日ろくがつじゆうごにちける大爆發だいばくはつは、當時とうじ天下てんか耳目じもく聳動しようどうせしめたものであつたが、クラカトアには比較ひかくすべくもない。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
窯業えうげふの発達せしことは一たび伊万里の名声をあげしめたりき、豊太閤の「名護屋御滞陣」は、一時天下の耳目を聳動しようどうしたりといへども、単にこれをその他の盛衰に観るも
松浦あがた (新字旧仮名) / 蒲原有明(著)
偶然ぐうぜんおこつたかれ破廉耻はれんち行爲かうゐにはか村落むら耳目じもく聳動しようどうしても、にもかくにも一處理しよりしてかねばならぬすべてのものは、彼等かれら共通きようつうきたがりりたがる性情せいじやうられつゝも
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
人の耳目を聳動しようどうすれ共、何に故電信鐵道の無くては叶はぬぞ缺くべからざるものぞと云ふ處に目を注がず、猥りに外國の盛大を羨み、利害得失を論ぜず、家屋の構造より玩弄物に至る迄
遺訓 (旧字旧仮名) / 西郷隆盛(著)
衆目衆耳の聳動しようどうすることなき事業にして、或は大に世界を震ふことあるなり。
人生に相渉るとは何の謂ぞ (新字旧仮名) / 北村透谷(著)