“繍取”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ぬいとり60.0%
ぬいと40.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
わたしがこの上沓に鬱金香の繍取ぬいとりをさせられたのは、お前さんが鬱金香を好いているからだわ。それから。
忽然こつぜん川岸づたいにけ来る一人の女がハタとわが足許につまずいて倒れる。いだき起しながら見遣みやれば金銀の繍取ぬいとりある裲襠うちかけを着横兵庫よこひょうごに結った黒髪をば鼈甲べっこう櫛笄くしこうがい飾尽かざりつくした傾城けいせいである。
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「麻の地に、太い毛糸で繍取ぬいとりをした幕でしたよ。プウランジって言ったものですけれどね、り切れるなんていうことはありませんでしたよ」
長い総のついた帯には繍取ぬいとりのあるさまざまの袋を下げているのを見て、わたくしは男の服装の美なる事はむしろ女にまさっているのをうらやましく思った。
十九の秋 (新字新仮名) / 永井荷風(著)