組紐くみひも)” の例文
あれはお恥かしいが、生活たつきたすけに、家族どもや子飼いの召使どもにやらせておる組紐くみひも打ちの細工場で、紐打ちの木車もくしゃを掛けている音でござります。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
上野近くを歩くと田村屋の煙管だとか、十三屋のくしだとか、道明どうみょう組紐くみひもだとか今でも古い看板かんばんを降ろしません。浅草の「よのや」も櫛で見事なものを売ります。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
そして底のへり小孔こあながあって、それに細い組紐くみひもを通してある白い小玉盃しょうぎょくはいを取出して自ら楽しげに一盃いっぱいあおいだ。そこは江戸川の西の土堤どてあがばなのところであった。
野道 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
織るとは言っても組紐くみひものようなものだから、持ってあるいて何処どこででも織りつづけたかと思う。私も二十何年か前に、日向ひゅうがの或る山村を旅行してそういうのを見た。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
両国広小路の掛け小屋から、抜け出たところから想像すれば、蛇使いの女太夫、組紐くみひものお仙が商売がら、蝮捕まむしとり姿に身をやつし、恋しい男を追っかけて木曽路へ行くに違いない。
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
組紐くみひも盤帯はちまきにした帽檐広つばびろな黒羅紗ラシャの帽子をいただいてい、今一人は、前の男より二ツ三ツ兄らしく、中肉中背で色白の丸顔、口元の尋常な所から眼付のパッチリとした所は仲々の好男子ながら
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
革の美しさはもとより、漆塗の色、刺し方の術、組紐くみひもの技、間然かんぜんする所がありません。特に籠手のようなものは、革の性質から生れた形の美しさが、あらわであります。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
組紐くみひもの見本を持ちまして、近国遠国を注文を取って歩いておりますもので」
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こいつを耳にした組紐くみひものお仙が、飛び出して行ったのは無理ではあるまい。
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
組紐くみひもの技も京都は優れております。古くは何よりも武具がこの技を求めたでありましょう。更にまた茶の湯がその発達を促したでありましょう。箱紐に袋紐に人々は念を入れました。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
大蛇使いの組紐くみひものお仙が、太蛇ふとへびを使っているのである。
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)