うかがわ)” の例文
そうして作者の心理状態が寂しい内にもようやく落ちついた処に僅かな余裕もうかがわれる。その自然の動きの現われてるのが、たまらなく嘻しい。
歌の潤い (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
また入部と書いてみぶとましているのを見れば、丹生(にふ)の女神との交渉がうかがわれる。あるいは「水に入る」特殊の為事しごとと、み・にの音韻知識から、宛てたものともとれる。
水の女 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
是には主として水土の功、ことに与那国よなぐにという近隣の一孤島の収容と連絡とがうかがわれるが、対岸大陸との交通にはまったくれていないのは、或いは隠れたる動機があったのかもしれない。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)