窓框まどかまち)” の例文
とにかく二十分ほど、がらんとした空室あきべやの中へ靴のまま上がって、窓框まどかまちに腰をかけて待っているうちに神村は出てゆきました。
アパートの殺人 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
彼女は夢中になつてゐて初めは私に氣が付かなかつたが、氣が付くと侮蔑ぶべつの唇をゆがめて別の窓框まどかまちに行つてしまつた。驛傳馬車は止つて、馭者が入口の呼鈴ベルを鳴らした。
窓框まどかまちに腰を掛けて、柱に頭をもたせて、うっとりと夜空を眺めていた伊兵衛は、思わず
彩虹 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
その窓框まどかまちに両手をかけて音もなくひらりと中に跳り込んで、改めてへやの中を見渡した。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
松の樹の折枝が嵐にもまれて、二人の背後の窓框まどかまちをバサバサバサとたたいた。強盗の向うを張ったわけでもあるまいに、しかし二人は振向もせず熱心に師父ブラウンの顔を見つめていた。
卷パンの一片をこまかく碎いて、しきゐの上にパン屑をのせてやるつもりで、窓をけようと窓框まどかまちを力まかせに引つぱつてゐると、その時ベシーが階段を駈け上つて子供部屋に這入つて來た。