突掛つっかか)” の例文
「はっ、」と、突掛つっかかる八ツ口の手を引張出して、握拳にぎりこぶしで口のはたをポン、とふたをする、トほっと真白まっしろな息を大きく吹出す……
露肆 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
まのあたり見る父は鄭寧ていねいであった。この二つのものが健三の自然に圧迫を加えた。積極的に突掛つっかかる事の出来ない彼は控えなければならなかった。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
と、闇の中から、「手を挙げろハンド・アップ‼」春田少年なにくそッと、身を沈めるとみるや声のした方へ飛礫つぶてのように突掛つっかかった。
危し‼ 潜水艦の秘密 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
私はそんなことを思って打壊されたつらい心と、面と向って突掛つっかかられる荒立つ心とを凝乎じっと取鎮めようとしていた。他の二人も暫時しばらく黙って座が変になっていた。すると饗庭が
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
「何だって、商売の邪魔をするのさ、あんたなんかに用はないよ」といきなり突掛つっかかった。
青い風呂敷包 (新字新仮名) / 大倉燁子(著)