神楽師かぐらし)” の例文
葛飾かつしかにそだって、父親はゆうめいなお神楽師かぐらし、虎吉は小さいときから神楽笛を吹きなれて、それがまた、非凡の腕まえだったのです。
幻術天魔太郎 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
よく考えてみると、それそれ、これは先日、武州の高尾山の宿坊で七兵衛と泊り合わせた神楽師かぐらしの一行の中の長老株の男でありました。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
伊兵衛は例の阿佐ヶ谷組の神楽師かぐらしの仲間にまじって、いかにもいい気持そうに、また得意げに、笛の高音を張りあげております。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
神楽は村の能狂言のうきょうげん、神官が家元で、村の器用な若者等が神楽師かぐらしをする。無口で大兵の鉄さんが気軽に太鼓をうったり、気軽の亀さんが髪髯かみひげ蓬々ぼうぼうとした面をかぶって真面目に舞台に立ちはだかる。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「あの奥に泊めてある阿佐ヶ谷村の神楽師かぐらしども、田舎能いなかのう真似まねほどはするであろう。あれをここへ呼んで、笛、小鼓。わしも舞おう、月江もうたえ」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
神楽師かぐらしとは言いながら、変り種ばかり集まっていますから、神楽師にしては人間が大風おおふうだと思召おぼしめすかも知れません、事実、神楽は道楽のようなもので
大菩薩峠:27 鈴慕の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
木曾路を取って京都へ帰ろうとした神楽師かぐらしの一行が、ふと道を間違えて、こちらへ入り込んだからやむを得ず、安房峠あぼうとうげを越えて、飛騨ひだへ抜けようとのことです。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
で、あッちこッちの二十五座に、神楽師かぐらしとして雇われて歩くうちに、御定法どおり、女ができる、江戸前にかぶれてくる、百姓がイヤになる、神楽師もつまらねえ。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その連中は上方かみがたから下る神楽師かぐらしだといっていましたから、そのつもりで話を合わせていると、七兵衛には、どうもこの連中が神楽師だとは受取れなくなりました。
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
此家ここの老百姓に聞いてみたところ、ここから近い阿佐あさ村には、遠い昔から、阿佐ヶ谷神楽といって、旧い神楽師かぐらしの家があり、毎月、三峰神社の月祭りには、そこの家で調べをあわせて
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
例のお神楽師かぐらしにいでたつ一行のうちにも、しかるべき音曲の堪能者たんのうしゃが無いという限りはありますまい。
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
別に、その同じ夜更けて、自称お神楽師かぐらしの一行は、池田良斎の許に寄り合って、額をつき合わせて、あまりあたりを驚かさぬ程度で、談論しきりに湧くの有様でありました。
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
神楽師かぐらしを名乗るくせ者であっただけに、物の音色について、かなりやかましい耳を持ち合せていたらしい——そこで問題が紛糾ふんきゅうして、やや、悩ましいものにまでされている。
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
白骨谷へ集まった、お神楽師かぐらしを標榜する連中が、その崩れでないとは保証ができない。
大菩薩峠:30 畜生谷の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
十数人のお神楽師かぐらしを差図して、荷物をまとめさせたが、ふと膝を打って
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「商売と改まって聞かれると閉口するですがね、実は神楽師かぐらしなんですよ」
大菩薩峠:27 鈴慕の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
二十五座の神楽師かぐらし面揃めんぞろいをさせて見た方がよっぽど手間がかからない——こんな無意味な旅行を、あんな頭の空っぽな女親方を案内にして歩いて、それで自分というものが慰められているほど
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
七兵衛はこの四五人連れの神楽師かぐらしを、只者ではないとにらみました。
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ここに至ると、神楽師かぐらしの仮面は、遠慮なく剥落はくらくしてしまい
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)