県主あがたぬし)” の例文
旧字:縣主
鹿爪らしく何の朝臣あそんだの、何のむらじだの、宿禰すくねの、真人まひとの、県主あがたぬしのと、それぞれ昔の貴族豪族の姓を名乗っていた時代が近く五十年前にあったのである。
論功行賞に際しても、さうした降臣をも、日向以来の重臣と同様に、県主あがたぬしなどに為したまうてゐるのである。
二千六百年史抄 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
後におあとをおぎになった若帯日子命わかたらしひこのみことと、小碓命おうすのみこととおっしゃる皇子おうじと、ほかにもう一方ひとかたとだけをおそばにお止めになり、あとの七十七人の方々かたがたをことごとく、地方地方の国造くにのみやつこ別稲置わけいなぎ県主あがたぬしという
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
大化以前には国造くにのみやつこ県主あがたぬし等の所領の外に、天皇直轄御領の公田すなわち大御田があって、その農民すなわち公民を大御田族おおみたからと呼んだものであったであろう。
賤民概説 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
おみむらじ国造くにのみやつこ県主あがたぬしなど、勢力のある氏のをさが、土地人民を私有してゐたので、天皇は、氏の長を率ゐて居られるだけで、直接の御領地以外は、人民全体から、税なども
二千六百年史抄 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
一方に我が大和朝廷の御稜威みいづは、次第にこれら倭人の諸国に及び、その帰順したものは我が帝国に併合して、その国王は所謂国造くにのみやつこ県主あがたぬしなどに任ぜられ、祖先以来の本領の安堵を得たのであったが
国号の由来 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)