目標めやす)” の例文
目の届かない幅は問題外として、突き当りをさえぎる壁を目標めやすに置いて、大凡おおよその見当をつけると、畳一枚をたてに敷くだけの長さは充分あるらしく見えた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
躍り上り躍り上り仏名を唱えつつ当時の日本国内六十万人を目標めやすに「光明」の文字を書いた賦算ふだを配って歩いた時宗の開祖一遍上人(延応元年に生れ正応二年に歿す)があります。
仏教人生読本 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
錘は板鉛を使って、一匁の十分の一か二もあればいい。それから錘の上一尺五寸ばかりのところへ、水鳥の白羽を移動式につける。これは、目標めやすといって、魚が餌に当たった時の目印にするのである。
木の葉山女魚 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
何故なぜ物質的の富を目標めやすとして今日こんにちまで働いて来なかったのだろうと疑う日もあった。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)