癇癪筋かんしゃくすじ)” の例文
中の気短そうなひとりが、癇癪筋かんしゃくすじ血脈ちみゃくを打たせながらせせら笑うと、退屈男のその言葉尻を捉えて、噛みつくように喰ってかかりました。
梟眼きょうがんかっみひらけば、お丹も顔色あおずみて真白きおもて凄味すごみを帯び、眉間みけんとお癇癪筋かんしゃくすじ、星眼鋭くきっにら
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
彼は警察事務にはもう飽き飽きしたといっていましたが、談一度ひとたびルパンに及ぶと、額に癇癪筋かんしゃくすじを出して、息を引取るまで、あいつの事は忘れないだろうと、非常な見幕けんまくでした。
黄金仮面 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
梓はあおくなるまでに、はては気をいらって、額がつッぱると思うほどな癇癪筋かんしゃくすじ、一体大人しく、人に逆らわず、争わないだけ、いつもは殺しておく虫があるのでむらむらと、来た。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
こめかみのところにみみずばれのような太い癇癪筋かんしゃくすじをたてながら、だれといっしょに死んでやるというのか、おれも殺せ、おれも殺せと、わけもなくののしり叫んだものでしたから