畏多おそれおお)” の例文
……遊女、白拍子しらびょうしはまだしも、畏多おそれおおいが歌の住吉明神のお声だって写すんです。謡本うたいぼん首引くびッぴきで、朱筆で点を打ったって、真似方も出来るもんか。
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
また畏多おそれおおい事ながら教育勅語の中に「夫婦相和し」と夫婦の対等を御認めにもならなかったでしょう。
離婚について (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
それやこれやの事から世間では誰いうともなく好色本こうしょくぼん草双紙類の作者の中でもとりわけ『偐紫田舎源氏』の作者柳亭種彦は光源氏ひかるげんじの昔にたとえて畏多おそれおおくも大御所様大奥の秘事を
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
そして、『それは畏多おそれおおいことだからです』と付加えた。そういう話であるが、その沈黙の留学生の言葉を記者は今おもい起して、亜米利加問題と或る関連をたせたいのであった。
ドナウ源流行 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
まことに貴い公家様くげさまでござって、女高山の婆さんは、エライといっても身分としては、信州飯田の一商家の女に過ぎないが、徳大寺様ときた日には、畏多おそれおおくも天子様の御親類筋で
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)