甲子かっし)” の例文
下谷叢話したやそうわ』ハはじめ下谷のはなしト題シテ大正甲子かっしノ初春ヨリ初稿しょこうノ前半ヲ月刊ノ一雑誌ニ連載シタリシヲ同年ノ冬改竄かいざんスルニ当リテクハ改題セシナリ。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
ことし甲子かっしの暮春、日曜日にもあらず大祭日にもあらぬ日なり。前夜の雨に表通おもてどおりも砂ほこりをさまりて、吹き添ふ微風に裏町の泥濘ぬかるみも大方はかわきしかと思はれし昼過。
礫川徜徉記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
鶴巻町の新開町を過れば、夕陽せきようペンキ塗の看板に反映し洋食の臭気芬々ふんぷんたり。神楽坂かぐらざかを下り麹町こうじまちを過ぎ家に帰れば日全くくらし。燈をかかげて食後たわむれにこの記をつくる。時に大正十三年甲子かっし四月二十日也。
礫川徜徉記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)