甲冑武者かっちゅうむしゃ)” の例文
ましらのようにこずえへのぼるとちゅうでも、秀吉方ひでよしがた甲冑武者かっちゅうむしゃに、やりでピシリッとたたかれたが、それさえ、必死ひっしであったので、いたいともなんともしょうにこたえなかった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ただその付近に二三の奇怪な伝説がある、甲冑武者かっちゅうむしゃの亡霊が、深夜に行列をする甘利谷とか。甲斐の国じゅうのたぬきが、年に一度集会をひらくという、狸の談合場とか。
山彦乙女 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「そんなものではございません! 甲冑武者かっちゅうむしゃでございます」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
泥によごれた無数の軍馬のすねが、織機はたのように脚速きゃくそくをそろえて、敵方の甲冑武者かっちゅうむしゃせ、長槍や陣刀を舞わせながら、二人の顔の上を、躍りこえ、躍りこえして、駈け去った。
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
深夜に甲冑武者かっちゅうむしゃの亡霊が行列したとか、たぬきの談合場とか、そばへ寄るものはなんでもひき込むさわらヶ池とか、……そして人を入れることをゆるさず、入ってゆく者は生きて帰れない「かんば沢」など。
山彦乙女 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)