生抜はえぬ)” の例文
旧字:生拔
汗のある手は当てない秘蔵で、芽の出づる頃より、ふた葉の頃より、枝をめず、ふりは直さず、我儘わがままをさして甘やかした、千代田のたつみ生抜はえぬきの気象もの。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
公園主事で雲仙の字引といわれるそのさんもはじめてこの景色を見て驚けば、島原生抜はえぬきの宿の主人あるじも助役さんも生れて初めて見たこの渓谷に見とれるのであった。
雲仙岳 (新字新仮名) / 菊池幽芳(著)
とはいえ、そのときは、由良をたすけて功労のあった志摩も白川もその他の古い旗挙以来の生抜はえぬきの座員は、そのほとんどすべてがすでに死んだりいなくなったりしていた。
春泥 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
ともに横浜以来の、古い、生抜はえぬきの座員だったには違いないが、菱川だけは、そのまえ倭の一座にいて身分でも由良とそれほど違わなかった。ひらの座員としてカナリ重用されていた。
春泥 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)