玻璃窓ガラスまど)” の例文
入相いりあひを告げる蓮華寺の鐘の音が宿直室の玻璃窓ガラスまどに響いて聞える頃は、ことに烈しい胸騒ぎを覚えて、何となくお志保の身の上も案じられる。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
二重ふたえ玻璃窓ガラスまどをきびしくとざして、大いなる陶炉とうろに火をきたる「ホテル」の食堂を出でしなれば、薄き外套がいとうをとおる午後四時の寒さはことさらに堪えがたく、はだ粟立あわだつとともに
舞姫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
満場再び湧き返へれり、玻璃窓ガラスまどの砕くる響すさまし
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
小諸でも町費の大部分を傾けて、他の町に劣らない程の大校舎を建築した。その高い玻璃窓ガラスまどは町の額のところに光って見える。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
そこは、三つばかりある高い玻璃窓ガラスまどの一つを通して、不忍しのばずいけの方を望むような位置にある。
芽生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
とお雪は言って、花瓶かびんだの、鏡だの、古風な油絵の額だので飾ってある食堂の内を見廻した。彼女は又、玻璃窓ガラスまどの方へも立って行って、そこから見える町々の屋根などを眺めた。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
十月下旬の日の光は玻璃窓ガラスまどから射入つて、煙草のけぶりに交る室内の空気を明く見せた。彼処あそこの掲示板の下に一群ひとむれ、是処の時間表のわき一団ひとかたまり、いづれも口から泡を飛ばして言ひのゝしつて居る。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
午後に、お種は折れ曲った階段を降りて、湯槽ゆぶねの中へ疲れたからだを投入れた。あふれ流れる温泉、朦朧もうろうとした湯気、玻璃窓ガラスまどから射し入る光——周囲あたりは静かなもので、他に一人の浴客も居なかった。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)