玻璃盞コップ)” の例文
炉に掛けた雪平ゆきひらの牛乳も白い泡を吹いて煮立ちました頃、それを玻璃盞コップに注いで御二階へ持って参りますと、旦那様は御机に倚凭よりかかって例の御調物です。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
奥様の御差図さしずで、葡萄酒を胡燵おこたの側に運びまして、玻璃盞コップがわりには京焼の茶呑茶椀ぢゃわんを上げました。静な上に暖で、それはだまされたような、夢心地のする陽気。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
と寂しそうに御笑なすって、湧上がる胸の嫉妬しっとを隠そうとなさいました。御顔こそ御笑なすっても、深い歎息ためいき玻璃盞コップを御持ちなさる手の戦慄ふるえばかりは隠せません。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)