玉網たま)” の例文
後にして之を想へば、よし真に自ら釣りしとするも、の時携へし骨無し竿にて、しかも玉網たまも無く、之をげんことは易きに非ず。
釣好隠居の懺悔 (新字旧仮名) / 石井研堂(著)
船頭已に玉網たまを手にして起ち、『いではいけません、十分で弱りきるまで痿やして。』と言いつつ例の如く、直ちに水押の上に俯して、半身殆ど船外に出し、左手ゆんでを伸べて
大利根の大物釣 (新字新仮名) / 石井研堂(著)
このおおき釣師、見物人の外に、一種異りたる者の奔走するを見る。長柄ながえ玉網たまを手にし、釣り上ぐる者を見るごとに、即ち馳せて其の人に近寄り、すくひて手伝ふを仕事とする、奇特者きとくしゃ? なり。
東京市騒擾中の釣 (新字旧仮名) / 石井研堂(著)
玉網たまを擬し、暗流を見つめて、浮かばすくわんと相待つ。
大利根の大物釣 (新字新仮名) / 石井研堂(著)