)” の例文
前日からきこめた百珍の料理は銀盤に盛られ、酒も家蔵の吟醸ぎんじょう幾壺いくつぼとなく持ち出して、客の前において封を切るばかりに用意していた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
………何? 行つたとは限らん?………阿呆らしい! 人の家の台所借つて、かしわの肉いたりして、リヽーのとこやなかつたら、何所どこへ持つて行きまんね。
猫と庄造と二人のをんな (新字旧仮名) / 谷崎潤一郎(著)
吉は牛にやる雑炊ぞうすいきながら、ひとり柴の切れ目からぶくぶく出る泡を面白そうに眺めていた。
笑われた子 (新字新仮名) / 横光利一(著)
いて貰うのだから、お米を一升も持っておいでなんしょ。柿も持っておいでなんすか——」
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
やがて隣の細君の姿が現れると「いずれいて食べる時には少しずつお頒けしますよ」
忘れがたみ (新字新仮名) / 原民喜(著)
これをき直して、小供は学校行きの弁当に入れてもらい、家では今日はお父さんのお手柄で久しぶりの洋食や、という事になるのかも知れない、などと私は馬鹿気ばかげた想像をめぐらした。
楢重雑筆 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
母が御神米をいただいてかえり、それをいて父にのませました。九時頃になって、すっかり発作は鎮まりました。もう今晩は大丈夫だろうと云って母は兄のところへ泊まりに行きました。
落ちてゆく世界 (新字新仮名) / 久坂葉子(著)
………何? 行つたとは限らん?………阿呆らしい! 人の家の台所借つて、かしわの肉いたりして、リヽーのとこやなかつたら、何所どこへ持つて行きまんね。
猫と庄造と二人のをんな (新字旧仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「城内から出て来る降人どもには、わけてねんごろにしてつかわせ。——まず、大釜にかゆかせ、飢えたるものには、温かい粥を。病人には薬を。怪我人には手当を」
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
生憎あいにく今日こんちなんにも無くて御気の毒だいなあ。川魚のいたのに、豆腐のつゆならごはす。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
………何? 行ったとは限らん?………阿呆あほらしい! 人の家の台所借って、かしわの肉いたりして、リリーのとこやなかったら、何所どこへ持って行きまんね。
猫と庄造と二人のおんな (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
丁度お牧の父親も家に居る時で、例の油染みた髮結の道具などが爐邊に置いてあつたかと覺えて居ます。お牧の家の人達は非常に喜びまして、私のために鍋で茶飯をいて呉れました。
野にし山に寝、日夜奔命ほんめいに疲れていたが、どじょうひげの大将は、本陣の寺をむしろ安息所ともして、悠々と泊りこんでいるため、寺では夕方になると風呂をわかすとか、川魚をくとか
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たとえば御飯のお数なども驚くほど質素で、晩の食卓にもお吸物の外には野菜のき合せのようなものが一品附くだけで、啓坊も看護婦もあたしも皆同じものを食べたのである
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
丁度岩沼の基督降誕祭クリスマスに招ばれて行った後へ、君が訪ねて来て……あんな田舎らしい基督降誕祭に遭遇であったことは僕も始めてでしたよ……信者が五目飯なぞをいて御馳走ごちそうしてくれましたッけ。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
兵部大輔もさすがに昔のよしみを忘れず、父を大切にもてなして薬をすゝめたりしたが、父もその友情を快く受け入れ、韮雑炊にらぞうすいいてもらってそれをうまそうにたべてから、ぐっすりと睡った。
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)