“照射入”の読み方と例文
読み方割合
さしい100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
さっ照射入さしいる月影に、お藤の顔はあおうなり、人形の形は朦朧もうろうと、煙のごとくほの見えつ。霊山にく寺の鐘、丑満時うしみつどきして、天地寂然しんとして、室内陰々たり。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
破廂やれびさしより照射入さしいる月は、崩れし壁の骨を照して、家内寂寞せきばくとして墓に似たり。ややありて泰助は、表門のかたに出で、玄関に立向い、戸をして試むれば、固く内よりとざしてかず。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
もしそれ老婦人をしてかくてあることを久しからしめば、ついに必ず狂せむ。不意に音あり、戸は開きぬ。同時に照射入さしいる燈火の影に乱髪、敝衣へいいの醜面漢、棍棒こんぼうを手にして面前にきたれり。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)