然様そう)” の例文
旧字:然樣
それのみか然様そういう恐ろしいところではあるが、しかし沈香じんこうを産するの地に流された因縁で、天香伝一篇を著わして、めぐみを後人におくった。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「どうぞ、然様そういう訳でございますれば、……の御帰りになりまする前までに、こなた様の御力を以て其品を御取返し下さいまするよう。」
雪たたき (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
彼の南部の九戸くのへ政実ですら兎に角天下を敵にして戦った位であるから、まして政宗が然様そう手ッ取早く帰順と決しかねたのも何の無理があろう。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
秀吉に取っては第一には其の眼力が心細く思われるのであり、第二に辞退されて、ああ然様そうか、と済ませたことが下らなく思われるのである。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
続往生伝は匡衡の孫の成衡しげひらの子の匡房のせんだから、これも信ずべきであるが、何様して然様そういう相違が生じたのであろう。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
何時の世にも斯様こういう俗物は多いもので、そして又然様そういう俗物の言うところは、俗世界には如何にも正しい情理であると首肯されるものである。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
伝記家ととらわれてしまうのもうるさい。考証家、穿鑿せんさく家、古文書いじり、紙魚しみの化物と続西遊記にののしられているような然様そういう者の真似もしたくない。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
しもの者を頼みきって疑わぬところ、アア、人のしゅたるものは然様そううては叶わぬ、主に取りたいほどの器量よし。
雪たたき (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
世間一体を良くしようなどと心底から思うものが何処にござろう。又仮令たとい然様そう思う者が有ったにしても、何様どうすれば世間が良くなるか、其様な道を知っているものが何処にござろう。
雪たたき (新字新仮名) / 幸田露伴(著)