無言だんまり)” の例文
ト文三は慄然ぶるぶる胴震どうぶるいをしてくちびるいしめたまましばらく無言だんまりややあッてにわか喟然きぜんとして歎息して
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
顔のわからない夕方に出会った鳥打帽子のインバネス同志が右から左に、無言だんまり現金げんナマと引き換える……だから揚げられても相手の顔は判然わからん判然らんで突張り通したものですが
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
と一ツ叱って、客が這奴しゃ言おうでもたげたを、しゃくったあごで、無言だんまり圧着おしつけて
菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「あの部屋で、三人じっと無言だんまりでいた時ほど、凄いと思ったことはねえよ。」
最後の一すきの土を墓穴へかぶせてしまって、お終いの挨拶がすむと、父子おやこはゆったりした歩調で家の方へ帰って行ったが、その一歩一歩がひどく大儀そうであった。二人とも無言だんまりで歩いていた。
(新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
しっ! 声高しと押止めて、眼を見合わせ少時しばらく無言だんまり、この時一番鶏の声あり。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)