点心てんしん)” の例文
旧字:點心
そして、座頭以上、勾当こうとう、別当、検校けんぎょうなどの六、七十名だけが残って、しばらくは等持院の内で、茶と点心てんしんきょうをうけていた。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
けれども若し点心てんしん並みに僕の議論を聞いて貰へれば、それだけでも僕は満足するのである。
暫くしてとりの声がきこえると、諸客は起きた。三娘子はさきに起きて灯をともし、かの焼餅を客にすすめて朝の点心てんしんとした。しかし趙はなんだか不安心であるので、何も食わずに早々出発した。
「今晩は好い点心てんしんにありついた、ときはいらないぞ」
太虚司法伝 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
律寺では点心てんしん(間食)の設けなどして、還幸のお立ちよりを、境内の紅葉とともに、お待ちうけしていた。
全く点心てんしんを食ふ気で、毎日虱を食つてゐる。——これがまづ、第一に森に反対した。
(新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「あしたの朝出発のときに、点心てんしんを頼みます……」
と、洗い物など干しおえた藤夜叉が、やがてそこへ、麦菓子の点心てんしん(茶うけ)に、茶を入れて運んできた。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と風呂をすすめ、その間に、下男女中をとくして、鮮魚、若鶏わかどりの物などの手早い料理、さて杯やら銀の酒瓶ちろりやら、盆果ぼんか点心てんしん(菓子)なども取揃えて、席も卓の上席にあがめ。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「衛門か。この和子に点心てんしん(菓子)を与えてください」慈円がいうと
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)