湿気しつき)” の例文
旧字:濕氣
壁と押入から湿気しつきの臭が湧出し手箱の底に秘蔵した昔の恋人の手紙をば虫がふ。
花より雨に (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
をれしところちからよわりきれる事あり、是故このゆゑに上品の糸をあつかふ所はつよ火気くわき近付ちかづけず、時によりるにおくれて二月のなかばにいたり、暖気だんきを得て雪中の湿気しつきうすき時は大なるはちやうの物に雪をもりはたまえおき
果物を売り歩く女の呼声が湿気しつきのない晴れ渡つた炎天のもとに、長崎は日本からも遠く、支那からも遠く、切支丹の本国からも遠い/\処である事を、沁々しみ/″\と旅客の心に感じさせるやうに響く。
海洋の旅 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
その湿気しつきをかりて織る事もあり。