渦巻うづま)” の例文
旧字:渦卷
この折から聞えはじめたのはどっという山彦こだまに伝わるひびき、ちょうど山の奥に風が渦巻うづまいてそこから吹起ふきおこる穴があいたように感じられる。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
其処にあの遊蕩いうたうの気分が渦巻うづまき、三味線の音が聞え、赤いすそをチラホラさせた色の白い女達が往来し、老僧は老僧で
ある僧の奇蹟 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
かへしラランのんだが、その返事へんじがないばかりか、つめたいきりのながれがあたりいちめん渦巻うづまいてゐるらしく、そのために自分じぶんのからだはひどくあふられはじめた。
火を喰つた鴉 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
ふと我に返つて伊藤が英語の誤訳を指摘されたりした場合、私の心臓はしばし鼓動をやめ、更に深く更にやるせない一種の悲壮なまでの焦燥せうさうが底しれず渦巻うづまくのであつた。
途上 (新字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
すさまじい勢でぼやけた大氣の中を縦横じうおう渦巻うづまいてゐるのがハツキリ眼に映ツて來る。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
はたやオゾンののしめり、渦巻うづまもつ
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
をりからきこえはじめたのはどツといふ山彦やまひこつたはるひゞき丁度ちやうどやまおくかぜ渦巻うづまいて其処そこから吹起ふきおこあながあいたやうにかんじられる。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ひとときに渦巻うづまきかへすじよのしらべ
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)