清玄せいげん)” の例文
すつかり逆上のぼせて居たのが、お主の伜が一と足先へチヨツカイを出して、今では庵室の清玄せいげん見たいになつて居ますぜ
それが江戸じゅうの噂になったので、狂言作者の名人南北がそれを清玄せいげん桜姫のことに仕組んで、吉田家の息女桜姫が千住せんじゅの女郎になるという筋で大変当てたそうです。
半七捕物帳:26 女行者 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
行燈あんどんのそばに、たてひざをして、横むきだったら、菊五郎の庵室の清玄せいげんだね。」
吉田国五郎の人形芝居は例へば清玄せいげん庵室あんしつなどでも、血だらけな清玄の幽霊は大夫たいふ見台けんだいが二つに割れると、その中から姿を現はしたものである。寄席よせの広瀬も焼けてしまつたであらう。
本所両国 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「それは又錢形にも似氣ない、——お孃さんがあんなに綺麗だから、町内にも氣のある者は三人や五人ぢやなかつたが、その中でも飛んだ清玄せいげんが一人あつたのだよ」
清玄せいげん散髪ざんぎりに書きかえたような三幕物、その主人公の教心という僧を上京中の鴈治郎がんじろうがつとめていたが、名題の“土産”の二字を一字にして、土偏に産の字をつけたのは珍らしいといわれた。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
庵室の清玄せいげんのように痩せ細って、腑甲斐ふがいなくもお綾のおもかげを追い続けましたが、困ったことに人間は自分の思うがままの夢ばかりは見られず、ただ身を焼く懊悩に委ね切って
清水寺の清玄せいげん見たいで、私はあんな人は大嫌ひ