添書てんしょ)” の例文
牢城の管営かんえい(獄営奉行)、また差撥さはつ(牢番頭)などへ宛てて、それぞれ添書てんしょを書いた上、大銀たいぎん二十五両二ふうをも、あわせ贈って
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それも旅で知り合ったひと堅気かたぎになって、五里ばかり離れた町に住んでいるからと言って、添書てんしょをしてくれた。
抱茗荷の説 (新字新仮名) / 山本禾太郎(著)
宇津木兵馬は駒井能登守から添書てんしょを貰って、ここの寺の慢心和尚のもとへ身を寄せることになりました。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
安斉あんざいさんから校長先生へ添書てんしょを持ってきたのである。校長さんは家来でない。しかし家来のところへおよめにきている人の伯母おばさんのご主人だから、つまり、家来の伯父おじさんだ。
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
町方の御用聞にとって、大名屋敷は大苦手ですが、与力よりき笹野新三郎の添書てんしょで、どうやらこうやら、老巧な用人に逢い、三十一年前成滝近江が永のお暇になった時の事情を詳しく聞き出しました。
わしの弟弟子おととでしは昨今、開封かいほう東京とうけい大相国寺だいそうこくじにあって、智清禅師ちせいぜんじと衆人にあがめられておる。この添書てんしょをたずさえて、大相国寺へまいり、よう禅師にすがってみるがよい
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すなわち、青嵐居士の添書てんしょで、居士の知人であるところの、この長安寺の住職へあらかじめ諒解が届いていたものですから、万事が極めて素直に運んでいるのだろうと思われることです。
「間違のないように添書てんしょを書いてやろう」
負けない男 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
それにしても、柴進さいしん添書てんしょかねが、ここでは、どんなにものをいったかしれない。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)