泥土どろつち)” の例文
激しく雨水の落としたあとの、みぎわくずれて、草の根のまだ白い泥土どろつち欠目かけめから、くさびゆるんだ、洪水でみずの引いた天井裏見るような、横木よこぎ橋板はしいたとの暗い中を見たがなにもおらぬ。
海の使者 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
魂の貴さを具えないなら、たとい貴族だと自称しても、私はそれを泥土どろつちのように軽蔑します。
泥土どろつちや岩石は、渦を巻いて飛び散り、物凄い響に耳はきこえなくなるかと思われた。
地中魔 (新字新仮名) / 海野十三(著)
二ひきのかえるは、からだから泥土どろつちをおとすために、いけのほうにいきました。
二ひきの蛙 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
寝帽ナイトキャップをかぶった一人の脊の高い男が馬の脚の間から包みのようなものを抱え上げ、それを飲用泉の台石の上に置いて、泥土どろつちのところへ坐って、その上に覆いかぶさりながら野獣のように咆えていた。
みぞのうち泥土どろつちの底
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
みぞのうち泥土どろつちの底
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)