汚名おめい)” の例文
盛綱は、おかしがって語ったが、頼朝は、それは不愍ふびんなことだ、下賤げせんの者をしいたげたと聞えては、頼朝が生涯の汚名おめいというものである。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
足利あしかが時代以来の名家であるとか、維新の際には祖父が勤王の志が、厚かったにもかかわらず、薩長さっちょうに売られて、朝敵の汚名おめいを取り、悶々もんもんうちに憤死したことや
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
その正体を見とどけた喜平らは岩見重太郎の二代目とまでは行かなかったが、ともかくも弱虫の汚名おめいをすすぐことが出来たので、大手を振って町内を押しあるいた。
半七捕物帳:43 柳原堤の女 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「何も知らない兵隊たちには、汚名おめいを負わせないですめばそれにこしたことはないだろう。」とか
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
裏切るなど、武門の不信、これ以上な沙汰はない。汝らは汝らの主君に、不信の汚名おめいをきせて、恥を天下につたえたいのか
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「かれらのことです、かれらのことでござります。けっして、汚名おめいをさらすような結果をまねきはいたしますまい」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いや、聟の血気には、ミソをつけ申したが、おもいのほか、恢復がはやく、一日もはやく、陣前に出て、汚名おめいをそそぎたいと、それのみ、口ぐせに申しおりますわい」
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「無茶をするなよ。体さえなおせば、いつでも、汚名おめいはとりかえせる」
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
内乱者の汚名おめいをもって、どしどし死罪を与えて行った。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)