水性みずしょう)” の例文
女というものは、水性みずしょうなものでございますから、男次第でどうにでもなります。ほんとうに意気地のないものでございますね、オホホホホ
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
だが水性みずしょうの女にそれは無理な注文、今思えば、あのお人よしの率八でも可愛がってやった方がよッぽどましであったものを……
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
諦めてしまえばそこは水性みずしょう、もうお吉の心の中には、九十郎のことなど残っていなかった。
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「わたし、コケットなのよ。人情なんかないわ。まあ、役者向きの水性みずしょうなんだわ」
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
私たちの美的、文人的そして多少とも水性みずしょう的な傾向はこの刺戟が作用していることはいなまれない。私たちは幼少のころ現実的な労苦と渋みに対し、鍛錬されることがあまりに足りなかった。
光り合ういのち (新字新仮名) / 倉田百三(著)
もともと水性みずしょうの女ですから、少しずついい気持になって、相手になっているうちに、とうとうもりつぶされてしまいました。
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
まして、水性みずしょうの女を世話する以上は、こんな苦い事のあるのも前から承知でなくッちゃならねえ。怒るのは野暮というもの、それに、大盗日本左衛門という貫禄を小さくすることにもなる
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それが近ごろは、だんだんこうじて来た。お絹が水性みずしょうであることは万々承知で出してやりながら、あとに残された時に、神尾の胸が怪しく騒ぎ出して来るのです。
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
水性みずしょうのお玉さんは、誰にも愛嬌を見せるように、米友にも最初から愛嬌を見せていました。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)