毬唄まりうた)” の例文
おんなならではのあけぬ、その大江戸おおえど隅々すみずみまで、子供こどもうた毬唄まりうたといえば、近頃ちかごろ「おせんの茶屋ちゃや」にきまっていた。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
紀州の毬唄まりうたで、隠微な残虐ざんぎゃくの暗示がある。むかし、熊野もうでの山道に行暮れて、古寺に宿を借りた、若い娘が燈心で括って線香で担って、鯰を食べたのではない。
灯明之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
子供達こどもたち毬唄まりうたにまではやされて、るもらぬも、うわさはな放題ほうだい、かぎのおせんならでは、けぬ煩悩ぼんのうは、血気盛けっきざかりの若衆わかしゅうばかりではないらしく
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)