武蔵鐙むさしあぶみ)” の例文
そうではない、伊達の大御先祖の軍配であったという者もあります。いやいや名代の武蔵鐙むさしあぶみに紫手綱たづなでござりました、という者もあります。
大菩薩峠:34 白雲の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
麹町こうじまち九段——中坂なかざかは、武蔵鐙むさしあぶみ江戸砂子えどすなご惣鹿子そうかのこ等によれば、いや、そんな事はどうでもいい。このあたりこそ、明治時代文芸発程の名地である。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
試みに明暦めいれき三年江戸大火の惨状を記述したる『武蔵鐙むさしあぶみ』を見よ。一市人酔中すいちゅう火災に長持ながもちなかに入れられて難をのがれ路傍に放棄せらる。盗賊来つて長持を破るにそのうちに人あるを見て驚いて逃ぐ。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)