誠党領袖の一人なる武田耕雲斎たけだこううんさいと筑波に兵をげた志士らとの通謀を疑っていた際であるから、早速さっそく耕雲斎に隠居慎いんきょつつしみを命じ
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
武田耕雲斎たけだこううんさいのごとき水戸尊攘派領袖が慶喜側近として京都に頑張り、見込違いをまだまだ悟りきれなかった折柄のことである。他半は近藤勇こんどういさみ一派。
新撰組 (新字新仮名) / 服部之総(著)
山内侯に見染められたのも、水戸の武田耕雲斎たけだこううんさいに思込まれて、隅田川の舟へ連れ出して白刃はくじんをぬいていどまれたのも、みな彼女の若き日の夢のあとである。
明治美人伝 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
元治元年三月二十七日筑波山に立籠った武田耕雲斎たけだこううんさい天狗党てんぐとうが同年四月三日日光に向うみぎり、途中から脱走して江戸へ紛れ込んだのが、この袈裟がけの辻斬人水戸浪士の伊丹大之進であった。
彦根ひこねよりする井伊掃部頭かもんのかみ、名古屋よりする成瀬隼人之正なるせはやとのしょう、江戸よりする長崎奉行水野筑後守ちくごのかみ、老中間部下総守まなべしもうさのかみ、林大学頭だいがくのかみ、監察岩瀬肥後守ひごのかみから、水戸の武田耕雲斎たけだこううんさい
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)