此方衆こなたしゅ)” の例文
……あわれな、というはの、あぶらの乗った肉じゃ、いとしいというはの、かおりい血じゃぞや。な、殿。——此方衆こなたしゅ、鳥を殺さしゃるに、親子の恩愛を思わっしゃるか。
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「おお、此方衆こなたしゅはその註文のぬしじゃろ。そうかの。はて、道理こそ、婆々ばばどもが附きまとうぞ。」
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
さらば、身代りのおんなを奪ろう!……も一つほかにもある。両のたもと持重もちおもろう。あとは背負うても、抱いても荷じゃ。やあ、殿、上﨟たち、此方衆こなたしゅにはただ遊うだじゃいの。道すがらねんごろ申したたわむれじゃ。
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)