やど)” の例文
醸家沢本屋吉兵衛の家にやどる。主人池田瑞仙と知己なりといふ。駅長の園臥竜松長延十三四間なるあり。此日暑甚し。夜海中の塩火を見る。行程六里きよ
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
北征の師のづるや、しょうを督して景隆の軍に赴かんとしけるに、景隆の師ついえて、諸州の城堡じょうほふうを望みて燕に下るに会い、臨邑りんゆうやどりたるに、参軍高巍こうぎの南帰するにいたり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ほしは大糜にやどり、月は夾鐘にあた、清原の大宮にして、昇りて天位にきたまひき。道は軒后にぎ、徳は周王にえたまへり。乾符をりて六合をべ、天統を得て八荒をねたまひき。
按ずるに当時津軽承昭つぐあきを援ふ令は福山、宇和島、吉田、大野の四藩に下つた。福山の兵は此日ともの港にやどつた。「九月廿一日、晴、朝五時揃。(中略。)夕七時前鞆湊著。」
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
万里蒼波一鬨烟家こうのえんかみな掌中にあり。又本途に就き遂に二里広島城下藤屋一郎兵衛の家にやどる。市に入て猿猴橋ゑんこうばし京橋を過来る。繁喧は三都に次ぐ。此日朝涼、午時より甚暑不堪じんしよにたへず。夜風あり。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)