朝顔あさがお)” の例文
旧字:朝顏
詰所に近いかわやの前の庭へ落雷した。この時厠に立って小便をしていた伊沢柏軒は、前へ倒れて、門歯二枚を朝顔あさがおに打ち附けて折った。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
朝顔あさがおの前に立ってとつじょ国もとの事を思い出す。きょうの自分のやり方は、わが身分には少し過ぎたと考えて、非常にいやな気持ちになった。
廃める (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
とおせていた目を、すぐ真下ました作事場さくじば——内濠うちぼりのところにうつすと、そこには数千の人夫にんぷ工匠こうしょうが、朝顔あさがおのかこいのように縦横たてよこまれた丸太足場まるたあしばで、エイヤエイヤと
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
赤とんぼの休んでいる竹には、朝顔あさがおのつるがまきついています。昨年さくねんの夏、この別荘べっそうの主人がえていった朝顔の結んだ実が、またえたんだろう——と赤とんぼは思いました。
赤とんぼ (新字新仮名) / 新美南吉(著)
地方の都市は知らず、東京の市中では朝早くから朝顔あさがお売りや草花売りが来る。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
背負上しょいあげの緋縮緬ひぢりめんこそわきあけをる雪のはだ稲妻いなづまのごとくひらめいたれ、愛嬌あいきょうつゆもしっとりと、ものあわれに俯向うつむいたその姿、片手に文箱ふばこささげぬばかり、天晴あっぱれ風采ふうさい、池田の宿しゅくより朝顔あさがおが参ってそうろう
縁結び (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
●シャンソン(朝顔あさがおの歌)
間諜座事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
朝顔あさがおは、垣根かきねにまきついたまま、しおれました。
赤とんぼ (新字新仮名) / 新美南吉(著)