暢気者のんきもの)” の例文
「なんの、王進は元来の暢気者のんきものですよ。決して、これしきのことに腐りはしませぬ。けれど、母上のお悩みが察しられますので」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いゝさ暢気者のんきもの長命ながいきするつて云ふからね、お母さんはもう長くもあるまいし、兄さんだつてあゝ身をくだいちや何時病気になるかも分らない。
お末の死 (新字旧仮名) / 有島武郎(著)
「ヘエー、役目というわけでもありませんが、木戸の側にいるのは私とお向うの与八さん夫婦ですが、与八さんは暢気者のんきものですから、ツイ私が締めることになります。それにうっかり締め忘れたりすると、お六さんがやかましかったんです」
「そちは、そのように、暢気者のんきものだから、文使いなどには、ちょうどよいのだ。この定綱へ、行けと仰っしゃった事はない」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
水のみなぎっている雨の夜など、よく凡下ぼんげの酔っぱらいなどが落ちこんで、中には溺死した暢気者のんきものすらある濠であった。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「侍屋敷では、侍の家風に合う者でなければ、使いはしません。おまえみたいな野育ちの暢気者のんきものを何処で——」
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あんな道化てばかりいる暢気者のんきものはないぞとは、客の云うことであるが、吉原なかの者は、台屋の横丁のぬかるみを、苦虫を噛みつぶして、黙然もくねん腕拱うでぐみしながら
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「きょうは暢気者のんきものがおるぞ。——あれを見ろ。そち達と似合いの暢気者が」
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あの、暢気者のんきものの牛飼は、いったい、どこへ行ってしまったんでしょう」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あれは君も知っとるように、存外、暢気者のんきものじゃからね、何か、気まぐれに道くさでもしておるに違いない。ア。——それよりは、児玉君、奥君、林大隊長も、参謀室へ集まってくれんか、作戦上ちと協議したいことがある」
日本名婦伝:谷干城夫人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だんだん暢気者のんきものらしい恰好に変って来た。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
至って暢気者のんきものだ。
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)