こん)” の例文
ふつとこんな事が胸に浮んだ。今日に限つて特別に阿母さんの身体からだが鉄色の銚子縮てうしちヾみ単衣ひとへの下に、ほつそりと、白いほね計りに見えた様な気がする。
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
龜「へい雲助をしていやしたが、ろくな酒も飲めねえから太く短くやッつけろと、今ではこんな事をしておりやす」
わたしは六十になるがこん立派りつぱたことはない。來年らいねんはこれよりもうつくしい初日はつひをがみたいものだ。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
然るに近来は警察の方針が全く違つて来て、あゝ云ふ性質の者はどし/\圧迫して止まぬから、侠客は益〻窮境に居るが、自分はこんなに苦める結果は何様変形するかと危み思ふ。
侠客の種類 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
われと違ってお義理堅ぎりがてえ殿さまで、とこのねえ者を一人で出てくと仰しゃるは、己がへの義理で仰しゃるだ、憎くて置かれねえ奴だが、此の旦那さまもこんなにお義理堅ぎりがてえから
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)